コロナのパンデミックのように予想もしなかったリスクが発生するこの時代、進むIT化を背景に、企業を取り巻く環境や顧客ニーズが変化するスピード感は増しています。
こうした中、中小企業にとって、時代の変化に柔軟に対応するためのDX(デジタル・トランスフォーメーション)の重要性が高まっています。
人口減少や少子高齢化により、生産年齢人口の減少が見込まれるため、人手不足が深刻化して企業活動が困難に陥りかねません。日本の主力産業、自動車業界にも激変が起きている時代です。
DXはそんな状況を乗り越えるための新しい策です。
人手不足の解消、生産性の向上を通じた供給力の強化、新規事業の創出による需要獲得といった切り札はDXによって手に入ります。時代の流れに取り残されないよう、DXで企業価値を上げ、競争力を向上させましょう。
どんな業務が効率化しやすいか、検討段階でもお気軽にご相談ください!
中小企業のDXを成功させるカギ、それは社内の問題を可視化することから始まります。
日ごろ、何となく不便だ、面倒だと感じている業務フローがデジタルで解決してラクになり、所要時間が短縮されて残業が減ったり、浮いたリソースを別事業の創出に充てたりできたらどうでしょう。
今すぐにDXを始めたくなりませんか?
それは、社内の問題を可視化することから始まります。
目次(Contents)
中小企業の社内問題を可視化しよう
社内問題といっても、特にそれを問題と感じていない人も多いのがポイントです。
例えば稟議書。
これまで、紙の書類に押印してもらい、最後のハンコを貰うまでには時間がかかりました。上司が出張で一週間不在となると、一週間書類が滞るのは当たり前。それが普通で当たり前だということが身についていれば、それは不便でも問題でもないわけです。
しかし、それがデジタル化により最短1日で終わるようになるとしたらどうでしょう?
中小企業のメリットのひとつでもあるフットワークの軽さが最大限生かされ、意思決定の素早さを武器にすることができるようになります。
これがDXです。
これまで当たり前だったことも問題として洗い出してみる。そうした意識を社員一人ひとりが持つよう、まずは上層部から指示を出せるとスムーズです。
中小企業のDXでは社内問題を共有してみる
社員一人ひとりが考えた問題は、紙に書いて各自掲示板に貼っても構わないのですが、それではなかなか社内全体に周知されません。
そんな時に便利なのもまたデジタルの力です。
社内でのコミュニケーションや連絡は、付箋に書いて机にテープで貼っておくのが常態化していないでしょうか。
旅行に行った社員が同僚の机にお土産を置いておくときのメモレベルが、社内の重要事項でも行われているとしたら、それはリスキーなことですし、情報伝達としては不十分です。
なぜなら、社内で共有したほうがいい課題が、たった一人にしか伝わらないからです。伝達モレになる恐れもあります。
それはメールでも同じことです。同報にするという手段もありますが、メールが多い場合、うっかり読み落としてしまう可能性もあること、メールは顧客からの連絡を最優先にするべきなので、社員からのメールでメールボックスが埋まるのは感心できません。
そんな時に便利なのがチャットのツールです。
中小企業の社内問題共有のためのツール
社内で共有したい問題や連絡事項は、チャットのツールを導入することで簡単に解決できます。
ツールにはデータファイルを添付したり、「読みました」「良いと思います」などという印をつけたりできるほか、誰に伝わって誰に伝わっていないのかも一目瞭然なので連絡モレも防げます。
全社員対象ではなく、発信する相手を分けてグループを作ることもできます。
これで問題が共有できるうえ、賛同した人からの印もつけることができるので、簡単なアンケートの代わりにもなります。そして社内アンケートを配布するよりずっと楽で速いため、問題の可視化には非常に役立ちます。
中小企業はDXで業務効率化できる
そうした問題提起と全体への共有、意見の集約は、これまでなら例えば総務の一番若い社員が問題を集め、アンケートを作って人数分コピーして配布し、期日までに集めて集計するという時間と手間がかかりました。
それも仕事のうちだという慣れが問題を見えにくくします。デジタルで簡単にできることは、中小企業なら素早くDXしてしまいましょう。これまで問題視されてこなかったことも、デジタル視点で見ると「もっと早く簡単にできるのでは」ということが見えてきます。
チャットツールの導入だけで全員にとって便利になることがわかれば、導入しない手はありません。難しさもないので導入もラクで、使いこなすのも早いはずです。
こんな簡単なことから中小企業のDXはじめの一歩は始められるのです。
中小企業の業務効率化とは社員をラクにする仕組み作り
中小企業でのDXは何から始めたらいいかわからない。そう考える人もいるかもしれません。
何を可視化したらいいのかわからない。そんな時には「普段ちょっと面倒だと思っている業務が、もっとラクにならないだろうか」と考えてみましょう。これも立派な可視化のためのプロセスです。
例えば営業なら、毎回イチから作る提案書のために残業が増えていないか考えてみましょう。そこが一番大切な力の入れ所ではありますが、優れた提案書のフォーマットが何種類か、営業担当者全員に共有されていたとしたらどうでしょう。
会社のサーバの特定の場所に、そうした資料をまとめて置いてあれば、必要な時にコピーして書き換えればすみます。構成もデザインも出来上がっているフォーマットに数字やデータを入れ、画像を貼りかえるだけで済むとしたら便利ですね。
これをナレッジ・マネジメントといいます。
重要な情報や便利な情報は全社で共有するという考え方です。優秀な社員が独り勝ちするのではなく、優れたものは会社の財産として全員で共有し、会社の実力を底上げするというやり方です。
残業しないで済んだ分、定時で帰宅して心身を休めたり、必要な情報を集めたり、翌日のセールストークを準備したりと、一歩進んだ時間の使い方が可能になります。
これも、データの置き場所を作ってアップロードしておけばいいだけなので簡単ですが、とても有用なデジタル活用術のひとつです。
可視化した問題は部署ごとにまとめて優先順位をつける
DXのお役立ちツールは様々存在しています。チャットのような簡単なものから、サプライチェーン全体にかかわるような大きなものまで、多種多様です。そして、そうしたツールはそれぞれの業務に特化しています。
そのため、可視化した問題は部署ごとにまとめるのがいいでしょう。チャットや勤怠管理のような全体にかかわるものから、製造現場で使うもの、営業で使うもの、バックオフィスで使うものなど様々です。
そうした問題は別部署で仕事をしている人には、なかなかピンとこないものだったりもします。自分のいる部署の問題洗い出しに専念するのがおすすめです。
そんな時、慣れ親しんだやり方を捨てて新しいやり方へ移行することに拒否感を感じる人もいるでしょう。デジタルに対して苦手意識を持つ人もいるかもしれません。デジタルに苦手意識を持つ人はアナログで優秀なスキルを持っていることも多いものです。
しかし、中小企業にとってDXは今後ますます死活問題になっていきます。
例えば往年の職人技を持つ、その人でなければできない工場での加工があったとしたら、その技を最重要視するようなデータ作成をするなどの意識も大切になってきます。デジタルは、それまで会社を支えてきた職人のクラフトマンシップを踏みにじるようなものではなく、そうした技も包み込んで新しいフローにするものだからです。
簡単に導入できるものから、データを取って試行錯誤の後に開発が完了するようなものまで、つまり、既存のアプリケーションからオリジナルまで、DXのためのツールは大小様々です。
経営者、もしくはIT担当者は、社内の問題に優先順位をつけ、ステップ・バイ・ステップで進めていけば、中小企業のDXも決して難しいことではありません。
ちょっとシビアな話もします。
コストが上がると利益が圧迫されますから、変動分は価格に反映するかどうかという選択を迫られます。次の表は中小企業庁が2024年の状況を調査した「コスト変動分の価格反映状況」です。
これを見ると、全く反映できていないという答えが一番大きくなっています。これが2025年もずっと続くと考えると恐ろしいですね。
また、最低賃金の引き上げも喫緊の課題です。
人材確保のためにこれを行った会社は、その原資確保のために何をやったでしょうか。次の表「最低賃金の引き上げを受けて賃上げの原資確保のために行った対応」がそれです。
特に対応はしていないという答えが何と一番多く、しかもそれが利益を圧迫する結果となっています。
まとめ
ここまで、中小企業のDXは、すぐに着手できる小さくて簡単なものからスタートするといいこと、デジタルでラクになることを社内の問題として可視化し、共有すること、そうした問題には優先順位をつけて解決していけばいいことなどを見てきました。
でもデジタル化のためのITツールの導入が不安、導入したとしても慣れるまで不安、または、何を導入したらいいか迷っていたり、オリジナルのツールを作ることになったり、場合によっては社内にIT担当者がいなかったりすることもあるでしょう。新たに熟練の社員を募集するのもなかなか大変なことです。
そんな時に頼れるのが中小企業のDX対応を専門にしているITツール導入支援会社です。今の時代、ITツール導入支援会社は上から目線でいろいろ指示するような存在ではなく、困りごとを理解し、解決策を一緒に考え、慣れるまで見守り、その後も問題解決にあたったり、相談相手になったりする伴走者です。
株式会社HIKEは、既存のツールご提案から「ないものは作る!」という高いエンジニアリング能力も兼ね備えた強い味方です。「これを使ってみたいけれど、どうかな?」という問合せもお受けしています。
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参考文献
中小企業庁 2024年版「中小企業白書」
https://www.chusho.meti.go.jp/pamflet/hakusyo/2024/chusho/index.html